私たちの周りに電気電子機器が急速に増え、お互いに干渉する可能性が高まっています。EMC問題は、家庭内での受信障害から、電子機器の誤作動へと波及していくこととなりました。電気電子機器の開発に欠かせないEMC試験について、今回はその種類と試験サービスを行っている会社についてご紹介していきます。
1.EMC試験とは?
電気電子機器は開発、設計、製造して市場に出すためにはEMC規格を満たすことが必要とされています。そのため開発段階でEMC試験を行います。EMC(Electromagnetic Compatibility)とは電磁的両立性や電磁適合性と訳されます。EMC試験は、以下のEMI試験とEMS試験から成り立っていています。
①EMI(Electromagnetic Interference)試験
EMIは電磁妨害、エミッション(Emission)とも呼ばれます。外部に電磁波、電磁ノイズを出さないということで、EMI試験は機器から発生する電磁波が悪影響を与えないことを確認するものです。
②EMS(Electromagnetic Susceptibility)試験
EMSは電磁耐性、イミュニティ(Immunity)とも呼ばれます。外部からの電磁波、電磁ノイズによって影響を受けないということです。EMS試験は機器の作動を保証するため、電磁波による影響を受けない機能をもっているかを確認する試験です。
多種多様な電子機器や情報通信システムを共存させるために、周辺に影響を及ぼさず、自らも周辺から影響を受けないことを確認するために行うのがEMC試験です。
2.EMC試験サイトの種類
EMC試験サイトには大きく分けて、電波暗室、オープンサイト、シールドルームなどがあります。
①電波暗室
空間全体を金属でシールドし、天井・壁の5面あるいは床を含めた6面に電波吸収材を施工した施設です。評価する電子機器や情報通信システムの大きさや使用目的により、電波暗室の大きさや適用する電波吸収体が決められます。測定方法に合わせて10m法、3m法などの試験ができるサイズが一般的です。
②オープンサイト
電波暗室では対応が困難な自動車、設備機器などの大型機器の放射ノイズ測定や、高精度の測定環境が要求されるアンテナ校正にも適しています。電磁波の影響を避けて、人里離れた山間などに設置されます。近年の地上波デジタル放送の普及に伴い、新規の建造は減少してきています。
③シールドルーム
電磁環境を電磁気的に隔離するために設計された部屋のことで、部屋全体を金属板や金網などで覆ってつくられます。電波暗室と違い、電波吸収体がないため、内部での電磁波の反射が問題とならない場合に使用されます。
3.EMC試験サービス
国内の企業では以下の企業がEMC試験サービスを行っています。
・株式会社トーキン
https://www.tokin.com/product/dl_anechoic.html
・株式会社TSSジャパン
http://tssj.co.jp/
・富士フイルム株式会社
https://fujifilm.jp/business/material/test_measure/emc/index.html
・株式会社EMCジャパン
https://www.emcj.co.jp/
・株式会社ノイズ研究所
http://www.noiseken.co.jp/modules/testlab/index.php?content_id=1
・ビューローベリタスジャパン株式会社
https://eaw.bureauveritas.jp/service/emc/
・双信電機株式会社
http://www.soshin.co.jp/product/index.php?mkey=2
・株式会社オータマ
https://www.e-ohtama.jp/test/index.html
・沖エンジニアリング株式会社
https://www.oeg.co.jp/emc/index.html
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。
EMC試験は電気電子機器の開発にとって、ますます欠かせないものでありながら、メーカーにとっては製品化直前にEMC規格をクリアできないなど、悩まされることの多い問題でもあります。それだけに、スムーズな製品化をサポートするEMC試験サービスも様々な企業から提供されるようにもなってきています。