身の回りで使われる電気・電子機器が増え、生活の中でも欠かせないものとなってきています。電気・電子機器の製品開発において、必要性が増しているのが電波暗室、電波暗箱です。今回は電波暗箱がどんなものであるか、電波暗室と比較しながら紹介していきます。
1.電波暗箱とは
電波暗箱は、外部からのノイズを遮断し、内部では電波の乱反射を防ぎ、機器検査へ影響を抑えることができます。PND、携帯電話、無線LAN、ETC に見られるように、最近の情報無線通信機器の普及により、無線系試験の必要性が高まっています。特に生産ラインの無線系試験工程では技術基準適合証明を取得していない段階なので、信号電波を外部に漏洩することができません。外部ノイズからの遮断、内部では電波の反射のない環境、信号電波を外部に漏洩させない、このような条件をクリアしたものが電波暗箱です。
電波暗箱は、内部を電波吸収体で覆うことにより、電波の反射を防ぎ無響環境を作り出しています。用途としては、電波暗箱は携帯電話、PHS、無線LAN、ETC等の各種デジタル通信機器の送受信測定、各種アンテナの特性評価、EMC対策などが挙げられます。
2.電波暗室との違い
電波暗室に比べると以下のような違いがあります。
・ミリ波など高い周波数帯の実験などで使用されます。
・省スペースの設置が可能で、移動も可能であるため、オフィスのレイアウト変更等にも柔軟に対応することができます。
・電波暗室における煩雑な設置作業等のような測定作業が軽減することにより、時間短縮・測定効率化が図れます。
・比較的安価です。
3.企業の電波暗箱
国内では以下の企業が電波暗箱を取り扱っています。レンタルを行っている企業は設備のレンタルだけでなく、測定専門技術者のレンタルや測定結果に対して専門家からの対策アドバイスを受けられるサービスなどもあります。各製品のラインナップや価格とあわせて参考にしてみてください。
・株式会社TSSジャパン
http://www.tssj.co.jp/shieldbox2.htm
・マイクロニクス株式会社
http://www.micronix-jp.com/products/shield-box/
・株式会社新日本電波吸収体
http://www.mwa.co.jp/product/index.html#category03
・FDK株式会社
http://www.fdk.co.jp/cyber-j/pi_anecho.html
・E&Cエンジニアリング株式会社
http://www.ece.co.jp/products/box/abox.html
・日本シールドエンクロージャー株式会社
http://www.jse-emc.co.jp/anbox.html
・森田テック株式会社
http://www.morita-tech.co.jp/shield_solution.html
・有限会社シールドテック工業
http://www.shield-tec.co.jp/service.html
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。
WiFiや、携帯電話、地上デジタル放送機器の評価をする際、商用サービス波との切り離しを行うことができる電波暗箱は必須ツールといえます。特に近い将来5G 通信システムが普及してきます。新しい通信方式に合わせて、無線携帯端末向けの実験環境もそれに対応しなければならなくなってきています。